「就労移行支援って何?」「どんなサービスを受けられるの?」発達障害や精神障害をお持ちの方、または働くことに不安を感じている方にとって、就労移行支援がどのようなサービスなのかを正しく理解することは、今後の選択を考える上で重要だと思います。
私たちが福岡でディーキャリアを運営してきた経験では、最初は「就労移行支援がどんなものかわからない」という方でも、実際にサービス内容を知ることで「これなら自分にも役立ちそう」と感じられるケースが多くあります。
この記事では、就労移行支援の基本的な仕組みから具体的なサービス内容、実際の効果まで、福岡で実際に運営している立場から詳しく解説します。就労移行支援について初めて知る方にも、わかりやすくお伝えできればと思います。
目次
1. 就労移行支援とは一般就労を目指すためのサポートサービス
就労移行支援とは、障害のある方が一般企業での就職を目指すために、必要な知識やスキルを身につけるためのサポートサービスです。国の制度として位置づけられており、障害福祉サービスの一つとして提供されています。
1-1. 就労移行支援の基本的な目的
就労移行支援の最も重要な目的は、単に「就職すること」ではなく、「その人らしく長く働き続けること」です。
就労移行支援が目指すもの
- 一般企業での安定した就労の実現
- 個々の障害特性に応じた働き方の発見
- 職場で必要なスキルの習得
- 就職後も継続して働けるためのサポート体制構築
私たちタガイトでも、62.4%の就職率と89.3%の半年定着率(2025年1月時点)を実現していますが、これは単に就職をゴールとするのではなく、長期的な定着を重視した支援を行っているからだと考えています。
1-2. 障害福祉サービスとしての位置づけ
就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つです。これにより、国や自治体からの給付金でサービス費用の大部分がまかなわれ、多くの方が無料で利用できるようになっています。
制度的な特徴
- 国の制度として安定したサービス提供
- 利用者の約9割が無料で利用可能
- 全国統一の基準でサービス品質を確保
- 利用期間は原則2年間
1-3. 対象となる方の範囲
就労移行支援は、幅広い障害をお持ちの方が利用できます。
主な対象者
- 身体障害のある方
- 知的障害のある方
- 精神障害のある方(うつ病、統合失調症、双極性障害など)
- 発達障害のある方(ASD、ADHD、学習障害など)
- 難病のある方
- 高次脳機能障害のある方
私たちディーキャリアでも、特に発達障害や精神障害をお持ちの方を中心に、多様な特性の方にご利用いただいています。
2. 就労移行支援で受けられる具体的なサービス内容
就労移行支援では、就職に向けて様々なサービスを受けることができます。私たちの経験も踏まえて、具体的な内容をご紹介します。
2-1. 職業訓練・スキル習得支援
基本的なビジネススキル
- パソコン操作(Word、Excel、PowerPoint)
- ビジネスマナー・電話対応
- 報告・連絡・相談の方法
- 時間管理・スケジュール管理
専門的なスキル 私たちディーキャリアITエキスパート福岡大濠オフィスでは、以下のような専門スキルも学べます:
- プログラミング(HTML、CSS、JavaScript)
- IT系ソフトウェアの活用
- Webデザインの基礎
- データ分析の基本
2-2. 自己理解・障害特性理解の支援
発達障害や精神障害をお持ちの方にとって、自己理解は就職成功の重要な鍵となります。
自己理解支援の内容
- 障害特性の理解と受容
- 得意なこと・苦手なことの整理
- ストレス要因の特定
- 効果的な対処法の習得
実際に私たちの事業所では、「なぜ前の職場でうまくいかなかったのか」「自分にはどんな配慮が必要なのか」といったことを時間をかけて一緒に考えています。
2-3. コミュニケーションスキル向上支援
職場でのコミュニケーションに不安を感じる方も多く、この分野の支援は特に重要です。
コミュニケーション支援の例
- 上司・同僚との適切な関係の築き方
- 会議での発言方法
- お客様対応の基本
- トラブル時の対処法
私たちディーキャリアでは、実際の職場を再現した環境で上司役のスタッフと業務報告の練習を行うなど、実践的な訓練を重視しています。
2-4. 就職活動サポート
就職活動そのもののサポートも充実しています。
就職活動支援の内容
- 履歴書・職務経歴書の作成指導
- 面接練習・模擬面接
- 企業見学・職場実習の調整
- 求人情報の提供と分析
- 企業との条件交渉
2-5. 就職後の定着支援
就職がゴールではなく、その後の定着支援も重要なサービスです。
定着支援の具体例
- 就職後6ヶ月間の継続サポート
- 職場訪問・面談
- 職場でのトラブル解決支援
- 企業との調整・相談
私たちタガイトの89.3%という高い定着率は、この就職後サポートにも力を入れているからだと考えています。
3. 就労移行支援の利用条件と基本的な流れ
3-1. 利用するための条件
就労移行支援を利用するためには、いくつかの条件があります。
基本的な利用条件
- 18歳以上65歳未満の方
- 一般企業での就労を希望している方
- 障害福祉サービス受給者証を取得できる方
受給者証取得の条件
- 障害者手帳をお持ちの方
- 医師の診断書・意見書がある方
- 自治体が必要性を認めた方
「障害者手帳がないと利用できない」と思われがちですが、医師の診断書があれば利用できる場合も多いです。私たちの事業所でも、手帳をお持ちでない方がご利用されているケースがあります。
3-2. 利用開始までの流れ
Step 1: 相談・問い合わせ まずは事業所への相談から始まります。私たちの場合、電話やメールでお気軽にお問い合わせいただけます。
Step 2: 見学・体験 事業所の雰囲気や支援内容を実際に確認していただきます。私たちは約1時間程度の見学を行い、その後体験利用も可能です。
Step 3: 受給者証の申請 市町村の窓口で障害福祉サービス受給者証の申請を行います。申請方法については、私たちスタッフがサポートいたします。
Step 4: 利用契約・開始 受給者証が交付されたら、事業所と利用契約を結び、サービス利用を開始します。
3-3. 利用期間と頻度
利用期間
- 原則として2年間(24ヶ月)
- 早期就職した場合、残り期間は他の機会に利用可能
- 特別な事情がある場合、延長も可能
利用頻度
- 週1日〜5日まで、個人の状況に応じて調整
- 1日の利用時間も柔軟に対応
- 体調や生活リズムに合わせた段階的な増加も可能
私たちの事業所では、利用者の方の体調や状況に応じて、無理のない範囲で通所していただいています。
4. 他のサービスとの違いと特徴
就労移行支援の特徴をより理解していただくために、他のサービスとの違いについても説明します。
4-1. 就労継続支援A型・B型との違い
就労移行支援
- 目的:一般企業への就職を目指す
- 期間:原則2年間
- 雇用契約:なし
- 工賃:なし
就労継続支援A型
- 目的:雇用契約に基づく就労の場を提供
- 期間:制限なし
- 雇用契約:あり
- 工賃:最低賃金以上
就労継続支援B型
- 目的:非雇用契約での就労の場を提供
- 期間:制限なし
- 雇用契約:なし
- 工賃:作業実績に応じて
参照:厚生労働省「就労支援施策の対象となる障害者数/地域の流れ」
4-2. ハローワークとの違い
就労移行支援の特徴
- 障害特性に特化した専門的な支援
- 2年間という長期的な準備期間
- 職業訓練とスキル習得のプログラム
- 就職後の定着支援
ハローワークの特徴
- 一般的な職業紹介・求人情報提供
- 短期間での就職活動支援
- 障害者専門窓口での相談対応
厚生労働省の統計では、就労移行支援の就職率58.8%に対し、ハローワークは43.09%となっており、専門的な支援の効果が数字にも表れています。
参照:厚生労働省「令和5年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況」
4-3. 民間の職業訓練校との違い
就労移行支援
- 障害特性への理解と配慮
- 個別支援計画に基づくオーダーメイド支援
- 就職後の定着支援
- 費用負担が少ない(多くが無料)
民間職業訓練校
- 一般的なスキル習得が中心
- 集団での画一的な指導
- 就職斡旋はあるが定着支援は限定的
- 費用負担が大きい
5. 就労移行支援の実際の効果と成果
私たちの経験を含めて、就労移行支援の実際の効果についてお話しします。
5-1. 就職率と定着率の実績
全国平均の実績
- 就労移行支援の就職率:58.8%
- ハローワークの就職率:43.09%
- 専門的支援による15%以上の差
私たちタガイトの実績(2025年1月時点)
- 就職率:62.4%(全国平均を上回る)
- 就職実績:103人
- 半年定着率:89.3%
- 退所者総数:165人
これらの数字が示すように、就労移行支援は確実に効果のあるサービスだと考えています。
5-2. 利用者の変化・成長事例
私たちの事業所での実際の変化例をご紹介します。
事例1:発達障害のある方 プログラミングの知識はあったものの、職場での振る舞いが原因で転職を繰り返していた方が、コミュニケーションスキルを身につけることで安定した就労を実現されました。
事例2:うつ病から復職を目指す方 体調管理とストレス対処法を学び、段階的に自信を取り戻して希望する職種への就職を果たされました。
事例3:人間関係に不安のある方 実践的なコミュニケーション訓練を通じて、職場での適切な関係の築き方を身につけ、長期就労を継続されています。
5-3. 就職後の継続的な成果
就労移行支援の真の価値は、就職後の継続的な成果にあると考えています。
継続的な成果の例
- 職場でのトラブル発生時の適切な対処
- ストレス管理による体調の安定
- スキルアップによるキャリアの向上
- 自信の向上による積極的な取り組み
利用者の方からは「就労移行支援で学んだことが、就職後も役立っている」という声を多くお聞きしています。
6. 福岡で就労移行支援事業所を選ぶ際のポイント
最後に、福岡で就労移行支援事業所を選ぶ際の具体的なポイントについてお話しします。
6-1. 事業所の特色と実績の確認
福岡市内には多くの就労移行支援事業所がありますが、それぞれに特色があります。
確認すべきポイント
- 就職率と定着率の実績
- 専門分野や得意領域
- スタッフの専門性
- 支援プログラムの内容
私たちディーキャリアの特色
- 赤坂オフィス:自己理解とコミュニケーションスキルに重点
- 大濠オフィス:IT技術と人間力の両方を重視
6-2. 通いやすさと環境
継続的な利用のためには、通いやすさも重要な要素です。
通いやすさのチェックポイント
- 自宅からの交通アクセス
- 最寄り駅からの距離
- 交通費助成制度の有無
- 駐車場の確保
私たちの事業所は、福岡市中心部でアクセスが良く、多くの方に通いやすい立地にあります。
6-3. 見学・体験の活用
事業所選びでは、必ず見学や体験を行うことをお勧めします。
見学・体験で確認すべき点
- 事業所の雰囲気
- スタッフと利用者の関係性
- 実際のプログラム内容
- 他の利用者との相性
私たちも随時見学を受け付けており、実際の雰囲気を感じていただけます。「無理な勧誘は一切ない」ので、安心してお越しください。
まとめ
就労移行支援について基本的な仕組みから実際の効果まで詳しく解説してきましたが、最も重要なのは「一人ひとりに合った支援を受けることで、働く可能性を広げることができる」ということです。
私たちが福岡でディーキャリアを運営してきた経験から言えるのは、就労移行支援は単なる職業訓練ではなく、「その人らしく働き続けるための総合的な支援」だということです。障害特性や個人の状況に応じたオーダーメイドの支援を通じて、多くの方が新しい可能性を発見されています。
【この記事のポイント】
- 就労移行支援は一般就労を目指すための国の制度で、約9割の方が無料で利用可能
- 職業訓練だけでなく、自己理解・コミュニケーション・就職活動・定着支援まで総合的にサポート
- 全国平均58.8%の就職率で、ハローワーク(43.09%)より15%以上高い効果を実現
- 利用期間は原則2年間で、個人のペースに応じた柔軟な利用が可能
- 事業所選びでは実績・特色・通いやすさを総合的に判断し、必ず見学・体験を行うことが重要
就労移行支援について初めて知った方、詳しく検討したい方は、まず見学から始めてみてください。実際のサービス内容や雰囲気を体験することで、ご自身にとって価値のある選択肢かどうかが明確になるはずです。
働くことに不安を感じている方、新しい可能性を探している方も、一人で悩まずにお気軽にご相談ください。きっと新たな一歩を踏み出すきっかけが見つかると思います。
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