就労移行支援の対象者の条件は?就活生も利用できる!利用条件から実際の利用者像まで福岡の事業所が詳しく解説

「就労移行支援の対象者って具体的にどんな人なの?」「自分は利用できるのかな?」発達障害や精神障害をお持ちの方、または働くことに悩みを感じている方にとって、就労移行支援の対象者について正しく理解することは重要だと思います。

私たちが福岡でディーキャリアを運営してきた経験では、「最初は自分が対象者かどうかわからなかった」という方でも、実際に確認してみると利用条件を満たしているケースが多くあります。一方で、制度上の対象者であっても、他のサービスの方が適している場合もあります。

この記事では、就労移行支援の対象者の基本的な条件から、実際にどのような方が利用されているか、利用を検討する際のポイントまで、福岡で実際に支援を行ってきた立場から詳しくお話しします。ご自身が対象者に該当するかどうかを判断する参考にしていただければと思います。

就労移行支援の対象者となる基本的な条件

まず初めに、就労移行支援を利用するためには法律で定められた条件を満たす必要があります。「条件」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、実際には就労移行支援相談所に相談へ訪れる方の多くがこれらの条件を満たしており、「自分は対象者ではない」と思い込んでいるケースも少なくありません。

まずは基本的な4つの条件について、一緒に詳しく見ていきましょう。

年齢による条件(18歳以上65歳未満)

就労移行支援の利用対象者は、18歳以上65歳未満の方となっています。この年齢制限は障害者総合支援法で定められており、以降にご説明する条件はいずれも全国共通です。

年齢条件の詳細:

  • 18歳の誕生日以降から利用可能
  • 65歳の誕生日前日まで利用可能
  • 利用開始時点で条件を満たしていれば、利用中に65歳以上になっても継続可能

私たちの事業所では、18歳の高校を卒業したばかりの方から、40代に入り新たなキャリアを目指す方まで、幅広い年齢層の方にご利用いただいています。

最近では、大学4年生の就活生の方からのご相談も増えています。「就活がうまくいかない」「面接で緊張してしまう」「自分の特性を理解してもらえる職場を見つけたい」といったお声をよくお聞きします。

参照:厚生労働省「障害福祉サービスの内容」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html

障害の種類と程度について

就労移行支援の対象となる障害は、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病など、幅広く対象となっています。

また、障害者手帳をお持ちでなくても利用できるということです。医師の診断書や自立支援医療制度の受給者証があれば利用申請ができます。

よくご相談いただく障害・疾患

  • 発達障害:ADHD、ASD(自閉スペクトラム症)、学習障害
  • 精神障害:うつ病、双極性障害、統合失調症、不安障害
  • 身体障害:各等級の方(車椅子利用の方、視覚・聴覚障害の方など)
  • 知的障害:療育手帳をお持ちの方
  • 難病:指定難病の方(2024年4月時点で369疾病が対象)

「障害の程度が軽いから使えないのでは?」と心配される方もいらっしゃいますが、障害の程度に関係なく、就労に困難を感じている方は対象となります。利用を検討されている方は、まずは就労移行支援事業所へ相談してみてください。

参照:就労移行支援事業所の対象者について https://www.cocorport.co.jp/jobs/column/support_eligibleperson/

就労への意欲があること

就労を希望し、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる方が対象となります。

「見込まれる」という表現がポイントで、現時点で就労スキルを持っている必要はありません。「働きたいけれど、何から始めたらいいかわからない」「前の職場でうまくいかなかった経験がある」といった方も、就労への意欲があれば十分対象となります。

就労移行支援事業所は、「経済的に自立したい」「社会とのつながりを持ちたい」「家族に心配をかけたくない」など、大人の発達障害に悩む多くの方の就労と定着に向けた支援を受けることができるサービスとなっています。

障害福祉サービス受給者証の取得が必要です

就労移行支援を利用するためには、障害福祉サービス受給者証の取得が必要です。

この受給者証は、お住まいの市町村の障害福祉窓口で申請できます。福岡市の場合は、各区の保健福祉センターが窓口となります。

申請に必要な書類(基本的なもの)

  • 障害福祉サービス支給申請書
  • 医師の診断書または障害者手帳
  • 個人番号確認書類(マイナンバーカードなど)
  • 本人確認書類
  • 印鑑

(障害福祉サービス受給者証の申請手続きに関しては、改めて記事にまとめる予定です。)

手続きには申請内容を正確にまとめる必要があるため、私たちのような事業所の相談員がサポートを受けるのが一般的です。「手続きが難しそう…」と感じられる方は、まずはお気軽に事業所までご相談してみてください。

障害者手帳がなくても対象者になるケース

「障害者手帳を持っていないと就労移行支援は使えない」と思われている方が多くいらっしゃいますが、実はそうではありません。手帳がなくても利用できる方法がいくつかあります。

医師の診断書や意見書による利用

手帳がなくても医師の診断書があれば利用可能です。これは就労移行支援制度の大きな特徴の一つで、手帳取得を待つことなく、「障害福祉サービス受給者証」と診断書等があれば迅速に支援を受けられます。

相談例:Fさん(20代女性)は、大学4年生の就活中に、ADHD の可能性を指摘され、精神科を受診。診断は確定しましたが、手帳取得には時間がかかること、すぐに一般就労する自信が持てなかったことなどから、医師から診断書を受け取り就労移行支援を利用を開始しました。

Fさんが準備した書類

  • 精神科・心療内科医師による診断書
  • 医師の意見書(費用2,000~4,000円程度)
  • 障害福祉サービス受給者証
  • 障害年金受給証明書類
  • 定期的な通院歴の証明

診断書には、病名・障害名、症状の程度や日常生活への影響、就労支援の必要性についての医学的見解などの記載が必要です。

申請後は自治体が個別の状況を総合的に判断する

各自治体では、個別の状況を総合的に判断して利用の可否を決定しています。実際に私たちが申請を支援している福岡市のケースにおいても、画一的な判定ではなく一人ひとりの状況を踏まえて検討していただいています。

一般的に個別判定で重視されるポイント

  • 医師による診断の確実性
  • 就労への具体的な悩み
  • 支援の必要性と効果の見込み
  • 本人の利用意向や意思

利用に際しては、こうした情報を申請書類としてまとめて申請を行う必要があります。

就労移行支援の対象者でも他の選択肢の方が適しているケース

就労移行支援の対象者であっても、その方の状況によっては他の制度の方が適している場合があります。実際に私たちが見てきたケースを正直にお伝えしますので、利用を検討される方にはより良い選択をしていただければと思います。

就労移行支援が向いていない方の特徴

  • 体調が不安定で通所が困難な方
  • 即座に就職を希望する方
  • 専門的なスキルアップのみを求める方
  • より重度の支援が必要な方

体調が不安定で通所が困難な方

「就労移行支援を利用したいけれど、毎日通所するのが難しい」という方もいらっしゃいます。

体調が不安定な方におすすめの選択肢

  • 自立訓練(生活訓練):生活リズムを整えることから始められます
  • 地域活動支援センター:柔軟な利用時間で社会参加の練習ができます
  • 在宅就労支援:一部の就労移行支援事業所では在宅での訓練も可能です

利用者Iさんのケース:30代男性、うつ病の症状が重く、毎日の通所が困難。こうしたケースでは、自立訓練を利用して生活リズムを整え、その後就労移行支援に移行するという段階的なアプローチもおすすめです。

即座に就職を希望する方

「今すぐにでも働きたい」「時間をかけた訓練よりも、とにかく仕事を見つけたい」という方もいらっしゃいます。このようなケースでは、就労移行支援の対象となっている方であっても、直接ハローワークや転職支援などをご案内するケースもあります。

即座に就職を希望する方におすすめの選択肢

  • ハローワークの専門窓口:障害者向けの求人紹介が受けられます
  • 障害者就労支援センター:職業紹介と定着支援を行っています
  • 就労継続支援A型:雇用契約を結んで働きながらスキルアップできます

ただし、「急いで就職したけれど、すぐに辞めてしまった」という経験がある方には、就労移行支援での準備をおすすめする場合もあります。

専門的なスキルアップのみを求める方

「障害への配慮は特に必要ないが、ITスキルだけを身につけたい」という方もいらっしゃいます。こうした方は、就労移行支援よりも職業訓練校や民間のスクールを利用される方が適している場合もあります。

就労移行支援は、技術的なスキルアップだけでなく、障害特性の理解や職場でのコミュニケーション、ストレス管理なども含めた総合的な支援を行う制度のため、「専門性の高いスキルのみ身につけたい」という方には向いていないケースもあるためです。

より重度の支援が必要な方

日常生活の基本的な部分に大きな困難を抱えている方の場合、まずは生活基盤を整えることが優先されるケースもあります。

より重度の支援が必要な方におすすめの選択肢

  • 生活介護:日常生活の支援を受けながら、社会参加の機会を得られます

自分が就労移行支援の対象者かどうかを確認する方法

ここまで読んでいただいて、「自分は就労移行支援の対象者に該当するかな?」と気になられた方のために、具体的な確認方法をお伝えします。

まずは、ご自身で簡単にチェックしてみましょう。

基本条件のセルフチェック

 □ 年齢が18歳以上65歳未満で、対象となる障害を抱えている
□ 障害者手帳を持っている、または医師の診断を受けている
□ 働きたいという気持ちがあるが、すぐに働く自信がない
□ 通所(週数日でも可)はできるが、フルタイムで働くのは難しい

就労に関する困りごとのチェック(転職希望・休職中の方向け)

□ 面接でうまく話せない
□ 職場での人間関係やホウレンソウが苦手
□ 集中力が続かない、ミスが多い
□ 仕事が長続きしない
□ 仕事で大きなストレスを抱えている
□ 自分の特性を理解してもらえる職場を見つけたい

すべてにチェックが入らなくても大丈夫です。一部でも当てはまるものがあれば、まずは相談してみることをおすすめします。

就労移行支援事業所の見学・相談会を活用する

私たちのような就労移行支援事業所では、利用前の見学や相談を受け付けています。

見学は無料ですし、見学したからといって必ず利用しなければならないわけではありません。「とりあえず話を聞いてみたい」という気持ちで構いませんので、お気軽にお越しください。

市町村窓口での相談方法

福岡市にお住まいの場合、各区の保健福祉センターも相談窓口として利用できます。

相談時に持参すると良いもの

  • 障害者手帳(お持ちの場合)
  • 医師の診断書や受診歴がわかるもの
  • 本人確認書類

「いきなり窓口に行くのは不安」という方は、電話での相談から始めることもできます。窓口の職員さんは親身になって話を聞いてくださるので、遠慮せずに相談してみてください。

まとめ

就労移行支援の対象者について、どのような方が対象になるのか、その条件や対象でも向いていない方の例についても詳しくお話しさせていただきました。

重要なポイント

  • 年齢は18歳以上65歳未満が基本(大学生も利用可能)
  • 障害者手帳がなくても医師の診断書で利用できる
  • 障害の種類や程度に関わらず、就労に困りごとがあれば対象
  • 「働きたい」という気持ちがあることが一番大切

私たちが福岡でディーキャリアを運営してきた中で感じるのは、「もっと早く相談してくれれば良かったのに」ということが多いということです。一人で悩まずに、まずは相談してみることから始めてみませんか?

就労移行支援が適さない場合でも、就労継続支援や自立訓練など、様々な選択肢があります。大切なのは、あなたに最適な支援を見つけることです。ビス内容を知ることで「これなら自分にも役立ちそう」と感じられるケースが多くあります。

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