その一歩が未来を変える
このシリーズは、
日経新聞「私の履歴書」から
福祉経営者として心に残った一節を紹介し、
タガイトの支援観と重ねながら
学びを整理していく連載です。
2010年1月27日。
大阪地方裁判所で初公判が開かれました。
証言台は、裁判官を見上げるような位置。
まるですり鉢の底にいるような感覚だったといいます。
強いプレッシャーの中で
村木さんはこう述べました。
「私は無罪です」
裁判は
異例の展開をたどります。
捜査段階では
上司や部下は
村木さんの関与を認める調書にサインしていました。
しかし
裁判の証言台で彼らは
次々とその内容を翻します。
係長はこう語りました。
「調書は検事の作文だった」
取り調べの圧倒的な力関係の中で
意図とは違う調書にサインしてしまった。
その過程は
「被疑者ノート」に克明に記録されていました。
さらに
事件のきっかけとされた
「議員案件」も事実ではありませんでした。
その議員は
当日ゴルフ場にいたのです。
手帳には
その日のスコアまで記録されていました。
こうして
検察が描いたストーリーは
一つずつ崩れていきます。
そして迎えた
2010年9月10日。
判決の日。
裁判長の声が響きます。
「被告人は無罪」
その瞬間、
村木さんの心臓は
一度、大きく鼓動したといいます。
長い時間をかけて
真実が明らかになった瞬間でした。
今日のひとこと
真実は、
最後に静かに立ち上がる。